誰でも思いつくデザインは却下
- ビジネスファッション
- 2024.05.03
どうやってデザインのアイデアを出すか?
じっくり育ててもらえたから、今がある、そんなジュエリーデザイナーの新人時代の話をご紹介させていただきます。
「唯一無二」を求める修行
華やかな仕事だろうと、期待を膨らませて入社した先にあったもの。それは1つの変形パールのデザイン課題を毎日、常にパールを握りしめ、半年経つとそのパールが夢にでてくるほど、アイデアが出るまで鉛筆を走らせる日々でした。いつになったら出来上がるのだろうと、スケッチブック丸々1冊そのデザインで終わるくらいの1年を過ごしました。1つしかないパールの特徴を最大限にいかしたデザインってなんだろう。。大した知識もない新人の私は途方にくれていました。
「あなたかデザインする意味は?」
誰もが思いつくようなデザインは即、却下されました。「あなたかデザインする意味は?」「あなたらしさって、何?」常にこの問いをなげかけられました。
即戦力が求められる現代では考えられないほど、じっくりゆっくり丁寧に育てていただいたおかげで、デザインをする上で「唯一無二」を求めるこの思考は今でも私のデザインの基礎となっています。
でも当時は本当に修行のようでつらかった。丸2日かけて考えたデザインでもあっさり却下されることは日常茶飯時。
ジュエリーデザイナーなんて響きはかっこいいけれど、なんて地味で暗い仕事なんだと当時の私はそう思いながら過ごしていました。
やけくその先にあった限界突破の瞬間
元来シンプルでクールなデザインが好きな私はどうやってもOKがもらえないので、やけくそになって好みとは真逆な、ラブリーゴージャスなうさぎちゃんのデザインを、上司にもっていきました。
なんとあっさりOK!!やったーと思いつつ、え、これでいいの?これ好きな人いる?売れなかったらどうしよう?それはそれはドキドキしながらこのうさぎちゃんを生み出した責任と、不安がいりまじった日々を過ごしました。
実際工房から出来上がってきて初めて対面した時は、なんともすっとぼけたような、天真爛漫というか、細かいことを気にし無さそうな、うさぎちゃんと目があって「だいじょうぶよーー」と、話しかけられたきがして、勇気つげられました。
そしてうさぎちゃんは割と順調に?嫁ぎ先(お客様)が決まりました。
心の底からよかったと思いながら、少しだけ寂しかったのを覚えています。