英語嫌いの方・英語に強い苦手意識を持っている方でAI翻訳機(「ほんやくコンニャク」的なもの)に期待を寄せている方は多いのではないでしょうか。翻訳機が買えるような時代になったら世界中の誰とでも気軽に話せるようになる。外国人とのビジネス交渉で溜まっていたストレスが解消される。英語学習の苦痛から解放されるという夢物語を描かれているかもしれません。
残念ながら翻訳機が本当に「ほんやくコンニャク」になるにはまだまだ時間がかかります。今のAI翻訳機の現状ですが、既に英語ができる方の能力をさらに引き上げるための道具にしかすぎません。例えば、簡単にGoogleで日本語の文章を英語にしてもらう。それをそのままコピペして使っている方もいますが、滑稽な文章になっていることが多いです。ネイティブの人が読むと不自然だと感じます。翻訳機から出てきたその訳が使えるかどうかは人間が判断しなければなりません。相手と自分の関係性・時節柄・ビジネスの調子など様々な要素を考慮し手直しを加えられるのは人間だけです。そしてそれをするためにはある程度の英語力が必要とされます。
AI翻訳機のもう一つの可能性は定型文の翻訳です。例えば、入国審査。What is the purpose of your visit? How many days will you be in the US? Where will you be staying? レストランでの注文。How may I help you? What would you like to drink? Would you like some coffee? などのお決まりのフレーズは事前に想定し、翻訳機に登録しておくことはできます。現在の翻訳機は究極的には定型文のマッチング技術でしかありません。想定外の英語に対応することはできません。海外旅行でちょっとした足しになるぐらいです。
そして忘れてはいけないのは英語、スペイン語、フランス語、ドイツ語などは元々の言語のルーツを共有しています。翻訳機の研究はこれらの言語で進んでいます。日本語にまでその技術が応用されるのはまだまだ先の話です。